「やめる勇気」と「続ける力」。 この二つは、スポーツだけでなく、人生そのものを支える大切な軸だと、私は40年近くの挑戦の中で学んできました。
これは、特別な才能の物語ではありません。「動けば道は開ける」 というシンプルな真実を信じて歩んできた記録です。
もしあなたが今、何かを始めたい、続けるか迷っている、やめるべきか悩んでいる、もう一度挑戦したい そんな気持ちを抱えているなら、 この物語が少しでも背中を押せたら嬉しく思います。

ランナーズ誌で富士登山競走の募集を見つけたとき、 「山ならマラソンほど速くなくてもいいだろう」 という甘い考えで申し込みました。
そして迎えた本番です。 最初の2kmを先頭集団の背中を見ながら走るという、今思えば無謀なスタートでした。 その後はバテバテになり、5合目でリタイアを決めたはずが、 気づけば6合目にいました。
登山客の声援、 八合目の山小屋で食べたあんパン、 意識が遠のきそうになりながらも一歩ずつ進み続け——
4時間20分で山頂に到達しました。
最後の石段を上りきった瞬間、 思わず岩に拳を叩きつけました。
「やってやったぞ」
このとき、 「こんな自分でも、やればできる」 という確信が、はっきりと心に刻まれました。

