「やめる勇気」と「続ける力」。 この二つは、スポーツだけでなく、人生そのものを支える大切な軸だと、私は40年近くの挑戦の中で学んできました。
これは、特別な才能の物語ではありません。「動けば道は開ける」 というシンプルな真実を信じて歩んできた記録です。
もしあなたが今、何かを始めたい、続けるか迷っている、やめるべきか悩んでいる、もう一度挑戦したい そんな気持ちを抱えているなら、 この物語が少しでも背中を押せたら嬉しく思います。

そして迎えた、私のトライアスロン初レースの日です。 プールスイムをなんとかこなし、バイクへ移りました。 米軍敷地内の直角コーナーだらけのコースを攻めながら走っていると、 前回ボランティアで同じ場所を担当していた女の子が、 今回もボランティアをしているのに気づき、思わず「こんにちは」と手を振りました。
そして得意のランへ——のはずでしたが、まったく足が動きませんでした。 自分の足ではないような感覚で、応援に来てくれた仲間からも 「どうしたの?」と心配されるほどでした。
初レースから2か月後、雑誌『トライアスロン』を開くと、 他の大会と並んで、あのレースが紹介されていました。 そして——そこに、私が走っている写真が載っていました。 我ながら「いいシーンを選んでくれたな」と思いました。
数週間後、一通の手紙が届きました。 差出人は、なんとあの時のボランティアの女の子でした。 大会主催者にゼッケン番号を伝えたら住所を教えてくれたという、 今では考えられないような経緯だったそうです。
その手紙の主こそ、現在の妻です。
また、先輩のバイクをフレームから組み上げたことをきっかけに、 「自分はこういう作業が好きで、しかも向いているのではないか」 と感じるようになりました。
「好きなこと」と「得意なこと」が重なる——。
この感覚が、自転車業界へ飛び込む決意につながっていきました。

